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34. 歌う保父 抱っこを迫る子、体当たりしてくる子、殴りかかってくる子、蹴りをいれて くる子…。たちまち人気者に?なった僕。そりゃあもう大変。ちぎっては投 げ、ちぎっては投げの毎日。誕生日を迎えたり、初めて歩いた子がいると、 肩車をして、お祝いしたんだ。雨の日以外は、ほとんど外に連れ出したよ。 「よ~し冒険に行くぞ!」年齢バラバラの個性豊かな子供たち。<山んばの 家>と僕が名づけた近くの墓地の休憩所。そこまで、みんな連なって、歌を 歌いながら行くんだよ。「歩けない」なんて弱音を吐く子をみんなで励まし ながらね。 <山んばの家>でさんざん遊んで腹を減らして「ただいま~」そして昼食。 みんな、冒険の話を肴に食べる、食べる。続いて、昼寝の時間。準備ができ たら「よ~し、集まれ!」みんな畳の上に腹ばいになって、ひとつの毛布に 頭を突っ込んで、暗闇の中で僕の創作話の始まり、始まり。「し~っ、静か に。いいか、今日は怖~いお話だ。ぞ~っとするぞ~」予想以上にこれが受 けて、アンコールの嵐。「えぇーい、今日の昼寝は中止だ!」なんてことも しばしば。 みんなでゴロンと横になっての昼寝…。穏やかで、愛しさあふれる時間だっ たなぁ。あのね、僕はエコヒイキをしていたと思う。その自覚症状がある。 僕自身が、エコヒイキしてもらったからなぁ。 母子家庭の子供たちをね。無性にいとおしくて…。保母失格だったこと、ほ ぼ間違いないよ。 子供たちが<むたちゃん>って慕ってくれ、恐がり、愛してくれた。思い起 こすと切なくなってくる。  ♪はるか彼方目指し 孤独まとって鳥は   なぜに 振り向きもせず 強く羽ばたくのか 「海よ」より
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