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31. 歌う惣菜屋 おかず屋さん。日ごとに違う仕事。楽しかったよ。「さぁ、今日はパック詰め」 小さな機械を使った手作業。発泡スチロール製の四角い皿に乗せたおかずを、 透明なラップで包んでいく作業。商品としての仕上げ。わかる?簡単そうで実は 難しかったんだ、この作業。てんぷらとかコンブ類は、素直に巻かれて値段入り のシール貼られて旅支度。でも、大学イモは大変だった。大学に行っているイモ だけあって?手ごわかったよ。カラメルのよろいを身にまとっているだろ。あれ がイカン。しかもハリネズミのように、ビョーンと飴の槍でラップを突き破るん だよ。しかも、イモの大きさもバラバラだからね。最初の頃は散々。でも、おば ちゃんたちが要領を教えて下さり、手本を示して下さったりで、ようやく出来る ようになったんだ。拍手喝采。そんな僕を社長もニコニコと眺めておられた。サ ラダを作っていたおばちゃんなんか、大きなタライの底に残っていたサラダを手 ですくって、舐めながらの拍手。不衛生?いや、昔はこうだったんだよ。 お店に並べられた商品たちに、こんなドラマのどれほどが伝わるのだろう… はずもないけれど、感慨深いな。 ある日、水を入れたバケツを挟んで向かい合い、社長と二人でジャガイモを洗っ た。「むたくん、仕事はきついだろ?頑張れよ。俺もねぇ、戦争から帰ってきて まさかジャガイモを洗っているとは思わなかったよ」社長は予科練の特攻隊員だ ったらしい。ズンと心の底に響いた言葉だった。 いつも作業着と長靴。カッコ良かった。男の渋さを知った。急逝された。合掌。 ♪あおーい海は いいました  空さんとても ステキです  青い空は いいました  海さんとても ステキです  あおーい海は いいました  それはあなたを 見てるから  青い空は いいました  それはあなたを 見てるから 「あおーい海と青い空」より
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