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26. 俺は龍馬 「もしもし、むた?俺からの頼みだ」故郷に住む先輩からの電話だった。「紹 介したい青年がいる。今度、会ってくれないか。お前に作曲をたのみたいんだ」 先輩の頼み。すぐ行動。先輩のもとへ。案内されるまま、ある施設へ。 「コンサートに行きたくても、僕たちは思うように行くことができないんだ…」 先輩が紹介してくれた青年のつぶやきだった。つぶやきは続いた。「いろんな 人たちが遊びに来て、また来ますって、帰っていく。ほとんどの人たちは、そ れっきり来ることはないよ…」重度のハンディを持つ青年の、まるで、搾り出 すような言葉に、僕は息を飲んだ。何を言っているのか、まったく分からなか ったから、職員に通訳?してもらったんだ。施設内の<たんぽぽ>とよばれて いた部屋でのことだった。 彼の言葉はもとより、まず、こんなに重いハンディを持っている人たちがいた ことがショックだった。何も知らなかった自分への憤りのような感情も湧いて きた。彼は、詩を披露してくれた。職員が書き留めてくれた。この時、歌は、 自分の存在をかけて<生まれてくるもの>ということを知ったよ。ショックだ った。全部がショックだった。ノックアウトだった。その詩に曲をつけること を約束し、やっとのことで帰路についた。 その詩の題名は<変身>。鳥やライオンになって自由にこの世界を飛び回って みたいという、生への願望をうたったものだった。 これが、シンガー・ソングライターむたゆうじの変身であり、誕生の瞬間でも あった。「また、来ます」と、約束できるシンガー。聞きたい人のところへ自 ら出向くシンガーになるんだ。 ♪ 自由に空を はばたいて 小鳥はいいな なりたいな いえいえ羽を 傷つけりゃ ただそれだけで 命とり 「小鳥」より
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